特集は育成就労制度です。

外国人労働者の人権侵害の点で問題があった技能実習制度に替わり、令和9年4月から育成就労制度が始まります。育成就労制度は、既に運用されている特定技能制度の前段階の制度であり、外国人労働者のキャリア開発計画がスムーズになるように配慮されています。運用手続きも似ているので、既に特定技能制度を導入している事業者にとっては、対応しやすいでしょう。ただし、育成就労制度は、その名前の通り、外国人労働者を、現場の戦力として一人前に育てるために教育、育成することを条件として在留資格を認める制度です。外国人労働者の教育、育成は、コストではなく投資であるという認識の転換が必要です。外国人労働者を受け入れる事業者に求められる主体的取組みと責任は加重されています。

特集記事冒頭の座談会は24ページとボリュームがあります。労働市場テストの問題を興味深く読みました。今年4月に、特定技能制度の外食業分野で、突如、特定技能1号の新規受け入れが停止されました。次は建設業分野か?と戦々恐々となりました。そもそも特定技能開始当初、受入れワクの数値がどのように決まったのかは謎とされていて、当時、様々な説明会でも釈然としませんでしたが、時は流れ、この決定にはただ驚くばかりです。

濱口桂一郎氏の「日本の外国人労働政策-育成就労制度に焦点を当てて」は、先日読んだ同氏の著書『外国人労働政策』の要約にもなっていて、とても読みやすかったです。あらためて技能実習制度における研修、教育の位置付けについて考えさせられました。

非常に印象に残ったのが是川夕氏の「育成就労制度とは何か?-労働移民政策としての視点からの評価」です。労働移民政策という、もっと広い視野から技能実習制度、育成就労制度について論じています。国際的な比較なども通じて、実は、日本の技能実習制度は巷で言われているほど問題だらけ、というわけではないと指摘します。その論拠のひとつが、冒頭でも述べた、受入事業者による教育、育成です。この議論を知らないと、「育成就労なんて、技能実習制度の作り直しでしょ、どうせ…」のような話になってしまいますが、必ずしもそうではないのです。

ジュリスト 2026年6月号(有斐閣)
2026年6月7日