第17条の2第2項、建設業者である法人が分割により建設業の全部を承継させる場合です。

この条文に登場する言葉を整理します。

分割被承継法人 許可に係る建設業の全部を承継させる建設業者。
分割承継法人 許可に係る建設業の全部を承継する建設業者。
分割被承継法人等 分割被承継法人、分割によりその事業に関して有する権利義務の全部または一部を承継させる法人であって分割被承継法人でないもの及び分割承継法人

“分割承継法人等”の定義に注意が必要です。“分割によりその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を承継させる法人”という表現があります。それは分割被承継法人のことでは、と思いますが、違います。分割被承継法人は、すでに建設業者であると定義されています。

条文が複雑なので、括弧書きを除去してみます。

建設業者である法人が分割により建設業の全部を承継させる場合(略)において、分割被承継法人等(略)が、あらかじめ当該分割について、国土交通省令で定めるところにより次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者の認可を受けたときは、分割承継法人は、当該分割の日に分割被承継法人のこの法律の規定による建設業者としての地位を承継する。

合併消滅法人の建設業者としての地位は、合併存続法人が全部、譲渡できる、と規定しています。ただし、条件は次の通りです。

  • 分割被承継法人の建設業の全部を対象とすること(一部はダメ)
  • 国土交通省令の規定に従って、認可を受けること

さきに省略した括弧書きの部分は、例外のケースを説明しています。
その例外とは、分割被承継法人と分割承継法人が同一の種類の建設業の許可を受けている場合に発生します。

ケースB、C、F、G、H、Iは除外されます。その理由は、相続の場合と同様です。当事者の中に一般建設業許可の建設業者と特定建設業許可の建設業者が混在する場合、許可要件が違うので、本条は適用されません。
以上で、分割による承継が可能な場合が明確になりました。分割による承継の場合、国土交通省令に従って、あらかじめ認可を受けておけば、分割の日に分割被承継法人の建設業者としての地位を承継することができます。その認可を受ける相手先は、次の通りです。

  1. 分割被承継法人(2以上あるときは、そのいずれか)が国土交通大臣許可のとき 国土交通大臣許可
  2. 分割被承継法人が2以上ある場合、その全てが都道府県知事許可で、かつ、その許可をした都道府県知事が同一でないとき 国土交通大臣許可
  3. 分割被承継法人が2以上ある場合でその全てが同一の都道府県知事許可のとき、又は分割非承継法人が1である場合で都道府県知事許可のとき 都道府県知事許可。ただし、分割承継法人が国土交通大臣許可を受けているとき、分割承継法人が分割被承継法人と異なる都道府県知事許可を受けているときは、国土交通大臣許可