改正建設業法の説明の最後は、「災害対応」と「建設資材製造業者に対する勧告及び命令等」です。建設業界を取り巻く事業環境の変化を反映した規定とも言うことができると思います。ひとつずつ確認しましょう。

災害対応

建設業者団体の責務として、災害発生時の対応が新設されました。近年、日本で激甚災害が増えていることへの対応ですが、防災、減災の観点から、建設業に求められる役割の重要性が見直されています。

建設業者団体は、災害発生時、被災地域の公共施設等の復旧工事を円滑迅速に進めるため、必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(第27条の40)。

  • 復旧工事を担当する建設業者と地方公共団体その他の関係機関との連絡調整
  • 復旧工事に使用する資材及び建設機械の調達に関する調整その他

建設資材製造業者に対する勧告及び命令等

問題がある建設工事の原因追及が、施工業者だけでなく、サプライチェーンを通じて建設資材提供者まで拡大される規定です。建設工事の効率化、工業化で、建設現場の作業の一部が、工場での製作工程に転換される傾向にある状況下で、注目すべき規定です。

建設業者が、適切な工事をしなかったために公衆に危害を及ぼしたとき(又は危害を及ぼすおそれが大であるとき)や、建設業者が、その業務に関し他の法令に違反し、建設業者として不適当と認められるとき、国土交通大臣又は都道府県知事は、その建設業者に対して、必要な指示をすることができます。

このとき、違反行為の原因が建設資材にあると認められ、かつ、建設業者に対する指示のみでは再発防止が困難と認められるときは、その建設資材を建設業者に引き渡した建設資材製造業者に対しても、再発防止を図るための適当な措置をとるべきことを勧告することができます(第41条の2第1項)。

建設資材製造業者とは、建設資材の製造、加工、輸入を業として行う者です。

建設資材製造業者が、この勧告に従わない場合、国土交通大臣又は都道府県知事は、その旨を公表することができます(同条第2項)。また、正当な理由がなく、勧告に係る措置を取らない場合、国土交通大臣又は都道府県知事は、その勧告に係る措置をとるように命ずることができます(同条第3項)。

国土交通大臣又は都道府県知事は、以上の実施について、必要な限度で、建設資材製造業者に対して、業務報告、立入検査、物件検査を実施することができます(同上第4項)。