建設業法は、第3章で建設業の請負契約について規定しています。

建設業の請負契約に関する条文の改正は、改正の法律(「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の則にに関する法律の一部を改正する法律」)の公布日から起算して、(1)6カ月以内、(2)1年6カ月以内のいずれかに分かれています。

まず、(1)6カ月以内の条文を確認しておきます。該当する条文は2つあります。

(建設工事の請負契約の内容)
第19条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

一~七 (略)

八 (変更)価格等(物価統制令(昭和21年勅令第108号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め

九~十六 (略)

2・3 (略)

第19条は、契約書の必須記載事項を規定しています。重要な条文です。第1項第八号が変更されています。現行の規定は、“価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更”です。

(工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の通知等)
第20条の2 (修正)建設工事の注文者は、当該建設工事について、地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、国土交通省令で定めるところにより、建設業者に対して、その旨を当該事象の状況の把握のため必要な情報と併せて通知しなければならない。

2 (新設)建設業者は、その請け負う建設工事について、主要な資材の供給の著しい減少、資材の価格の高騰その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、国土交通省令で定めるところにより、注文者に対して、その旨を当該事象の状況の把握のため必要な情報と併せて通知しなければならない。

3 (新設)前項の規定による通知をした建設業者は、同項の請負契約の締結後、当該通知に係る同項に規定する事象が発生した場合には、注文者に対して、第19条第1項第7号又は第8号の定めに従つた工期の変更、工事内容の変更又は請負代金の額の変更についての協議を申し出ることができる。

4 (新設)前項の協議の申出を受けた注文者は、当該申出が根拠を欠く場合その他正当な理由がある場合を除き、誠実に当該協議に応ずるよう努めなければならない。

第20条の2は、建設工事について、注文者と、それを請負う建設業者との間での情報交換について規定しています。現行法では、注文者から、建設工事を請負う建設業者に対して、工期又は請負代金の額に影響を及ぼす事象に関する情報を一方的に提供する規定です。改正法では、建設業者から注文者に対して、同様の情報を通知するだけでなく、工期等の変更について、協議を申し出ることもできる規定になっています。

建設業者が工期等の変更について、注文者に協議を申し出た場合、注文主は、誠実に協議に応じるよう努めなければなりません(努力義務)。ただし、注文者が公共工事発注者の場合は、協議に応じなければなりません(義務)。それは、この条文と同じ時期に改正される「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」第13条第2項に規定されています。

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

(各省各庁の長等の責務)
第13条 各省各庁の長等は、その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止し、及び不正行為を排除するため、前条の規定により提出された書類の内容の確認その他の必要な措置を講じなければならない。

2 (新設)各省各庁の長等は、公共工事について、主要な資材の供給の著しい減少、資材の価格の高騰その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生した場合において、公共工事の受注者が請負契約の内容の変更について協議を申し出たときは、誠実に当該協議に応じなければならない。