施行管理技士の実務経験が受検時点で不足しているにもかかわらず、不正に資格を取得していた事例の報告がありました。

建設業法を確認しておきましょう。

建設業法
(技術検定)
第二十七条 国土交通大臣は、施工技術の向上を図るため、建設業者の施工する建設工事に従事し又はしようとする者について、政令の定めるところにより、技術検定を行うことができる。
2 前項の検定は、学科試験及び実地試験によつて行う。
3 国土交通大臣は、第一項の検定に合格した者に、合格証明書を交付する。
4 合格証明書の交付を受けた者は、合格証明書を滅失し、又は損傷したときは、合格証明書の再交付を申請することができる。
5 第一項の検定に合格した者は、政令で定める称号を称することができる。

詳細は、建設業法施行令に規定されています。
受験資格については、施行令第36条です。

建設業法施行令
(受検資格)
第三十六条 一級の技術検定を受けることができる者は、次のとおりとする。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学(短期大学を除き、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。)を卒業した後受検しようとする種目に関し指導監督的実務経験一年以上を含む三年以上の実務経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
二 学校教育法による短期大学(による専門職大学の前期課程を含む。)又は高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。)を卒業した後(同法による専門職大学の前期課程にあつては、修了した後)受検しようとする種目に関し指導監督的実務経験一年以上を含む五年以上の実務経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
三 受検しようとする種目について二級の技術検定に合格した後同種目に関し指導監督的実務経験一年以上を含む五年以上の実務経験を有する者
四 国土交通大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識及び経験を有するものと認定した者
2 二級の技術検定を受けることができる者は、次の各号に掲げる種目の区分に応じ、当該各号に定める者とする。
一 建設機械施工 次に掲げる試験の区分に応じ、それぞれに定める者
イ 学科試験 当該学科試験が行われる日の属する年度の末日における年齢が十七歳以上の者
ロ 実地試験 次のいずれかに該当する者
(1) 学校教育法による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。(2)及び次号ロ(1)において同じ。)又は中等教育学校を卒業した後受検しようとする種別に関し二年以上の実務経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
(2) 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した後建設機械施工に関し、受検しようとする種別に関する一年六月以上の実務経験を含む三年以上の実務経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
(3) 受検しようとする種別に関し六年以上の実務経験を有する者
(4) 建設機械施工に関し、受検しようとする種別に関する四年以上の実務経験を含む八年以上の実務経験を有する者
(5) 国土交通大臣が(1)から(4)までに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有するものと認定した者
二 土木施工管理、建築施工管理、電気工事施工管理、管工事施工管理、電気通信工事施工管理又は造園施工管理 次に掲げる試験の区分に応じ、それぞれに定める者
イ 学科試験 当該学科試験が行われる日の属する年度の末日における年齢が十七歳以上の者
ロ 実地試験 次のいずれかに該当する者
(1) 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した後受検しようとする種目(土木施工管理又は建築施工管理にあつては、種別。(2)において同じ。)に関し三年以上の実務経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
(2) 受検しようとする種目に関し八年以上の実務経験を有する者
(3) 国土交通大臣が(1)又は(2)に掲げる者と同等以上の知識及び経験を有するものと認定した者

合格の取消しは第41条に規定されています。

建設業法施行令
(合格の取消し等)
第四十条 国土交通大臣は、不正の手段によつて技術検定を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその技術検定を受けることを禁止することができる。
2 前項の規定により合格の決定を取り消された者は、合格証明書を国土交通大臣に返付しなければならない。
3 国土交通大臣は、第一項の規定による処分を受けた者に対し、三年以内の期間を定めて技術検定を受けることができないものとすることができる。

今回の事例では、国土交通省は次の対応を実施しています。

(1)事業者への指示
・原因の究明及び再発防止の徹底
・所有者等に対する丁寧な説明、物件調査の迅速な実施及び報告
・第三者を入れた検証
(2)合格の取り消し及び受検禁止措置

この、“(2)合格の取り消し及び受検禁止措置”が、まさに建設業法施行令第40条に準拠しています。同条第1項、第3項は、文末がともに“~することができる”となっています。場合によっては、合格の決定を取り消さずに置くこともでき、技術検定再受験の禁止をしないこともできます。つまり国土交通大臣に裁量の余地があります。

今回の事例では、同じ事業者から過去に同様の事件が発生しており、再発防止策を講じたにもかかわらず再発したことを重く見て、合格の取消しや、受験禁止措置をとっています。

問題は、これだけにとどまりません。建設業法第27条は、第4章施工技術の確保に置かれた条文です。技士として不適格な者による施工は品質問題の疑いがかかります。国土交通省の対応でも、その究明が指示されています(“所有者等に対する丁寧な説明、物件調査の迅速な実施及び報告”)。今後は、具体的な施工案件について、配置した技術者の適正性が問われるでしょう。

詳細:国土交通省