消費税は有効に機能しているか?
白石浩介/消費税の転嫁と帰着 2014年増税が物価に与えた影響(税務経理協会)
消費税に関する様々な論点をバランス良く、丁寧に説明しています。
ところどころ、生活感漂う記述が微笑ましい。
本書のテーマは明確です。
消費税という制度設計の基本前提である完全転嫁は、本当に機能しているか?
インフレ期待が低い経済下で?
計量モデルによる分析で、商品ごとに複雑な転嫁の実態を明らかにしています。
現実は、理論で考えるほど単純ではなく、税法で定めた通り動く保証もない。
それが自由競争経済のもどかしさ。
軽減税率や、キャッシュレス・ポイント還元を適用することに、果たして期待通りの効果があるのか?
価格転嫁は、多段階下請構造の建設業でも注目すべき論点です。
米中経済戦争、東京オリンピック後など、景気の腰折れで価格転嫁が容易に進まないリスクを控え、読んでみました。
2019年10月の消費増税についても、今後、精密な分析を期待しています。