改正建設業法では、建設業の持続可能性に配慮して、事業の譲渡、合併、相続などの手続を円滑に進めるための規定が準備されました。

条文の順序とは逆ですが、第17条の3相続の規定を確認します。

まず、この条文に登場する言葉を整理します。

被相続人 建設業者が死亡した場合において、当該建設業者。
相続人 被相続人の営んでいた建設業の全部を承継する者。相続人が二人以上ある場合に、その全員の同意により相続人を選定したときは、その者。

条文が複雑なので、括弧書きを除去してみます。

建設業者が死亡した場合において、当該建設業者(略)の相続人(略)が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営もうとするとき(略)は、その相続人は、国土交通省令でさだめるところにより、被相続人の死亡後三十日以内に次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に申請して、その認可を受けなければならない。

被相続人たる建設業者の許可を、相続人たる建設業者は、全部、相続できる、と規定しています。ただし、条件は次の通りです。

  • 被相続人の事業である建設業の全部を対象とすること(一部はダメ)
  • 国土交通省令の規定に従って、被相続人の死後30日以内に申請すること

さきほど省略した括弧書きの部分は、例外のケースを説明しています。
その例外とは、被相続人と相続人が同一の種類の建設業の許可を受けている場合に発生します。

ケースB、ケースCは除外されます。

国土交通省通知(国土建第52号令和元年6月14日)を確認すると「承継元と承継先がともに建設業者である場合において、同一の建設業に関し一方が特定建設業、一方が一般建設業であるときは、本制度の対象とはしない」と記載されています。一般建設業許可と特定建設業許可とでは、許可要件が違います。従って、これらのケースでは相続を認められないのでしょう(この考え方は、事業譲渡、合併、分割も同様です)。

以上で、相続可能な場合が明確になりました。相続の認可を受けるための申請先は次の通りです。

  1. 被相続人が国土交通大臣許可なら、申請先は、国土交通大臣
  2. 被相続人が都道府県知事許可なら、申請先は、被相続人と同じ都道府県知事許可をした都道府県知事。ただし、相続人が国土交通大臣許可を受けているとき、相続人が被相続人と異なる都道府県知事許可を受けているときは、国土交通大臣