2020年3月16日更新
受入れに必要な手続
建設分野に関する情報は、「国土交通省所管5分野における新たな在留資格「特定技能」による外国人材の受入れ」に記載されています。
手続きの概要は、「建設分野における外国人材の受入れ」にまとめられています。
受入対象職種
2019年度の受入対象職種が掲載されています(「建設分野における外国人材の受入れ」、11ページ)。「特定技能」の外国人受入れができる職種は、従来の11種(型枠施工、左官、コンクリート圧送、トンネル推進工、建設機械施工、土工、屋根ふき、電気通信、鉄筋施工、鉄筋継手、内装仕上げ)に、2020年2月28日から7種(とび、建築大工、配管、建築板金、保温保冷、吹付ウレタン断熱、海洋土木工)が追加されました。
「特定技能」のキャリアパス
「特定技能」による外国人の受入れをご検討の方のために、建設業分野における新制度創設による外国人材のキャリアパスの概観をまとめました。
新しい在留資格、特定技能1号は、主に(1)技能実習2号、3号から変更する場合、(2)技能試験及び日本語試験に合格する場合があります。その他に、外国人建設就労者から変更する場合があります。
技能実習2号、3号から特定技能1号に移行する場合、技能実習2号または3号の実習期間を終了している必要があります。実習期間の途中で、特定技能1号に移行することはできません。
特定技能2号は、建設業のほかに造船・舶用工業分野のみ、認められています。
技能実習2号、3号から特定技能1号に移行する場合、技能試験や日本語試験は免除されます。一度、帰国する必要もありません。しかし、在留資格を変更するための手続が必要です。その手続き中は、在留資格を「特定活動」に変更する必要があります。
関係機関
特定技能1号外国人を受け入れるには、様々な機関との業務連携が必要です。関係機関を概観しておきましょう。
在留資格取得手続
新しい在留資格、特定技能1号の取得手続について確認しましょう。
3つのケースがあります。
- ケース1 海外現地機関で人材募集する場合
- ケース2 受入企業が、人材募集し、日本語・技能訓練を実施する場合
- ケース3 技能実習、建設就労から移行する場合
ケース1、ケース2は、日本語能力試験、技能試験の受験が必要です。国土交通省のホームページによると、初回試験は令和2年3月17日にフィリピンで実施予定でしたが(詳細)、新型コロナウイルス感染症の影響で、延期の見通しです(2020年3月16日)。建設分野特定技能1号評価試験 試験実施要領が公表されています。(同時期に予定されていたベトナムでの試験実施は延期)
当面は、ケース3 技能実習、建設就労から移行する場合を検討する必要があります。
技能実習2号、3号を修了している外国人は、日本語能力試験、技能試験を免除されています。そのまま特定技能1号の資格を申請すれば良い、と考えるかもしれません。その前に、次の2つの手続が必要です。
- 特定技能雇用契約を締結する。
- 建設特定技能受入計画を作成、提出し、国土交通省の認定を受ける。
これらの手続きに時間がかかります。技能実習が修了してから在留資格「特定技能」を取得するまでの間、外国人は一時的に在留資格が無資格の状態になります。これを防止するために、在留資格「特定活動」を申請します。
技能実習を修了した外国人が、在留資格「特定技能」を取得するまでの在留資格「特定活動」は、就労可で、4ヵ月間の在留期間が与えられます。更新はできません。詳細は、“在留資格「特定技能」へ変更予定の方に対する特例措置について”に記載されています。
1号特定技能外国人の受入手続
ケース3について、手続を少し詳しく説明します。既に技能実習2号(3号)を修了していると仮定します。
受入企業は、次の2つの条件を満足していることが必要です。
- 建設業者団体への加入
- 建設キャリアアップシステム事業者登録
受入企業は、直接的又は間接的に、建設技能人材機構に所属しなければなりません。建設技能人材機構は、建設業界が自ら特定技能外国人の受入れを適正かつ円滑に実現するための取組みを実施する組織であり、建設業者団体から構成されています。
また、受入企業は、建設キャリアアップシステムの事業者登録を完了しておく必要があります。
受入企業は、技能実習生に対して、次を実施する必要があります。
- 特定技能雇用契約に係る重要事項説明
- 特定技能雇用契約の締結
特定技能雇用契約に係る重要事項説明は、事前に、対象となる外国人が理解可能な言語で、所定の様式(告示様式第2)を用いて実施します。
技能実習生は、既に実習課程を修了しているため、そのままにしておくと、在留資格を失い、不法滞在になります。技能実習生を1号特定技能外国人として迎える一連の手続は、図に示してあるように手間と時間がかかります。そこで、受入企業は、出入国在留管理庁に対して、在留資格変更許可申請を行い、技能実習生の在留資格を特定活動に変更しておくことが必要です。
受入企業は、建設特定技能受入計画を作成し、国土交通省に認定申請します。
受入計画が認定されたら、在留資格変更許可申請を出入国在留管理局に申請します。
技能実習生が、建設キャリアアップシステムの技能者登録を申請した時、技術者登録が完了した時、その都度、受入企業は、そのことを証明する書類を国土交通省へ届出します。
参考文献:「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領ー建設分野の基準についてー」
受入企業が満たすべき基準、義務について
受入企業が満たすべき基準、義務について、出入国在留管理庁との関係を中心に確認しましょう。
受入企業が満たすべき基準
- 外国人と適切な雇用契約を締結すること
- 受入企業に法令違反などが無いこと
- 外国人を支援する体制が整備されていること
- 外国人を支援する計画が適切であること
“外国人を支援する体制”とは、外国人が理解できる言語で支援できることなども含まれます。このような体制を、自社で十分に整備できない場合は、登録支援機関に委託することができます(委託料が発生します)。
受入企業の義務
- 外国人と締結した雇用契約を確実に履行すること
- 外国人への支援を適切に実施すること
- 出入国在留管理庁へ各種届出をすること
このような義務を果たせない場合、外国人の受入れができなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受けることがあります。
建設技能人材機構について
建設分野の特定技能について、建設技能人材機構の役割を確認しましょう。
建設業界の課題
建設分野における外国人受入の課題は次の通り。
- 建設技能者全体の処遇改善
- 適正な労働環境のルールを守らないアウトサイダー、ブラック企業の排除
- 他産業、他国と比較して有能な外国人材の確保
- 失踪・不法就労の防止
- 受注環境の変化に対する的確な対応
これらの課題を業界として対応するために、建設技能人材機構が設立されました。
建設技能人材機構の役割
建設技能人材機構の役割は次の通り。
- 特定技能外国人の適正かつ円滑な受入実現に向けた行動規範の策定・適正な運用
- 建設分野特定技能評価試験の実施
- 特定技能外国人に対する講習・訓練又は研修の実施、就職のあっせんその他の雇用機会確保の取組
- 認定受入計画に従った適正な受入れを確保するための取組
建設技能人材機構は、民間職業紹介事業者の役割も担っています。
特定技能外国人の受入企業は、建設技能人材機構の直接、間接のメンバーとして、「特定技能外国人の適切かつ円滑な受入れの実現に向けた建設業界共通行動規範」に従った行動が求められます。
「建設技能人材機構」への加入について
特定技能外国人受入企業となるためには、「建設技能人材機構」への加入が必須です(「建設分野における外国人材の受入れ」、8ページ)。加入には、次のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 建設技能人材機構の正会員である建設業者団体に加入していること。
- 建設技能人材機構の賛助会員となること。
建設技能人材機構の正会員である建設業者団体や、加入に必要な会費は、同機構のホームページで確認できます。
加入手続の情報も、同ホームページに掲載されています。
受入企業になるためのその他条件
その他、特定技能外国人受入企業となるための条件としては、次が必要です。
- 有効な建設業許可を受けていること
- 建設業法に基づく監督処分を受けていないこと
- 適切な国内人材確保の取り組みを行っていること
協議会
新しい在留資格「特定技能」は、これまで以上に様々な関係省庁との連携が必要です。その情報交換の場は、一般には“協議会”と呼ばれ、特定技能外国人を受け入れる企業などが加入することになっています。
建設業分野の場合、協議会の位置づけが独特です。
協議会の役割
協議会の役割は、規約によると次の通りです。
- 特定技能外国人受入れに関する制度趣旨や優良事例の周知
- 受入れに係る人権上の問題等への対応策の検討
- 受入企業に対する法令順守の啓発
- 受入企業の倒産時等における特定技能外国人の転職支援
- 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
- 地域別の人手不足の状況の把握・分析
- 大都市圏等への特定技能外国人集中回避に係る対応策の検討・調整
- 建設分野の生産性向上、国内人材確保のための取組の調査・啓発
- その他情報・課題の共有、協議等
協議会の構成
協議会は、一般社団法人建設技能人材機構と、関係省庁から構成されます。
関係省庁とは、国土交通省、警察庁、法務所、外務省、厚生労働省です。
協議会、運営委員会の事務は、国土交通省土地・建物産業局市場整備課が行います。
受入企業と協議会の関係
協議会の構成員になれるのは、主に建設業者団体です。特定技能外国人を受け入れている個々の企業(受入企業)は、通常は、所属する建設業者団体を通じて、間接的に協議会に参加することになります。なお、賛助会員として、直接、協議会に参加することは可能です。
元請企業に求められる条件
特定技能外国人が働く建設現場で、元請企業に求められる条件についてです。
国土交通省作成の「建設分野における外国人材の受入れ」の6ページに、特定技能外国人の受入企業と元請企業との関係が掲載されています。
建設現場では、元請企業が現場管理の責任を負います。
建設現場で、特定技能外国人が働いている場合、元請企業は無関心でいることはできません。仮に下請企業が受入れている特定技能外国人であったとしても、元請企業は、次の確認が必要です。
・在留・就労の資格
・従事の状況(就労場所、従事させる業務の内容、従事させる期間)
また、元請企業は、特定技能外国人の受入企業である下請企業に対して、建設キャリアアップシステムへの登録状況を確認したり、受入計画の認定証の情報などを確認することができます。
元請企業と下請企業との間で、不正確な知識にもとづいて指導をしたり、受けたりして現場が混乱しないよう、注意が必要です。
元請企業が行う指導の詳細は、“特定技能制度及び建設就労者受入事業に関する下請指導ガイドライン”を参照してください。
新在留資格に関する情報
新しい在留資格に関する情報は、次に掲載されています。
特定技能 14分野のリンク集