月刊誌の中央公論9月号に千葉県知事の熊谷氏の記事がありました。最近、「現金給付」が多く、政策そのものの是非もさることながら、その実施段階で現場の業務負荷がどれほど上がっているか、国はあまり理解っていない。現金給付事務は、自治体による固有の手続きではないのだから、国が主導して効率化、共通化を図って欲しいと。
地方自治体も人手不足です。私は仕事で許可申請や証明書類の申請を様々な自治体に提出する機会が多いです。私が心配しているのは集中豪雨、地震、火山噴火などの自然災害です。災害が発生すると、その対応で職員が日常業務からシフトします。災害の種類、被害の深刻度や規模にもよりますが、一定の期間、一部の職員を配置換えしたり、同一の職員が、昼間は臨時の災害対応、夕方から申請書類の審査対応と業務を掛け持ちしたりします。仕事が遅くなって困った、ということは今のところありません。職員のみなさんが、なんとかやりくりして間に合わせてくださっているのでしょう。最近は豪雨とか線状降水帯とか、災害関連の言葉に反応して、その地域の自治体の状況を心配するようになりました。ホームページは稼働しているか、災害関連情報は掲載されているか。
近年、日本は深刻な災害が頻発する傾向にあります。予測不可能な地震は別としても、ある程度、傾向が把握できる気候変動については、日常的な行政運営を攪乱しかねない状況です。現金給付行政に限らず、日常の事務作業全般について国レベルでの横断的な見直しが必要なのでは、と思います。
熊谷俊人 自治体を疲弊させる「現金給付」に異議あり
中央公論 2025年9月号