内閣府の“経済財政運営と改革の基本方針2021”(骨太の方針)。
主な章立てと、外国人政策に関する部分を読む。

第1章 新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会のビジョン
第2章 次なる時代をリードする新たな成長の源泉
~4つの原動力と基盤づくり~
1.グリーン社会の実現
2.官民挙げたデジタル化の加速
3.日本全体を元気にする活力ある地方創り~新たな地方創生の展開と分散型国づくり~
4.少子化の克服、子供を産み育てやすい社会の実現
5.4つの原動力を支える基盤づくり
(8)成長力強化に向けた対日直接投資の推進、外国人材の受入れ・共生
(対日直接投資の推進)
海外から高度な人材・技術・資金を取り込み、我が国の技術力・研究開発力と結びつけ、イノベーション創出、サプライチェーン強靭化等につなげていくため、対日直接投資を一掃推進する。このため、「対日直接投資残高を2030年に80兆円、GDP比で12%とすることを目指す」ことを新たなKPIとして設定する。

“4つの原動力”とは、グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策だ。
“対日直接投資残高を2030年に80兆円、GDP比で12%とする”という目標は適切だろうか?2030年のGDPは約660兆円だ。2018年のGDPは名目でも547兆円、人口は1.26億人。2030年の人口は1.19億人だ。単純に国民一人当たりGDPを計算すると、2018年4340円、2030年5546円。約1200円の伸びが想定されている。

そこで最近の名目GDPの動きを見ると

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518億円をはさんで上下50億円前後の幅で推移している。
実質GDPで見ると

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リーマンショック時に一時的に減少するが、上昇傾向を確認できる。ただし、このトレンドは、COVID-19感染症の影響で一度、大きく減少してから再び回復するだろうから、2030年に660億円というのは、容易ではない数字だろう。COVID-19以前(いわゆる“コロナ前”)の経済システムに完全復帰するならまだしも、現下の感染症による厳しい経験と反省に基づいて、従来とは異なる新しいアプローチなども積極的に採り入れるとすれば、かなり高い目標値である。

(国際金融センターの実現)
(外国人材の受入れ・共生)
感染症の影響を踏まえ、感染拡大防止策を講じつつ、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の施策を着実に実施する。高度外交人材の受入れや活躍を推進するほか、特定技能制度の受入分野追加は、分野を所管する行政機関が人手不足状況が深刻であること等を具体的に示し、法務省を中心に適切な検討を行う。技能実習制度について人権への配慮等の運用の適正化を行う。これらを含めて、試行2年後の制度の在り方に関する見直しの検討を行う。加えて、不法滞在者に対する長期収容等の課題解消に取り組む。また、在留カードとマイナンバーカードの一体化の検討を進めるとともに、外国人が暮らしやすい地域社会づくり、在留手続きにおけるデジタル化の推進等の施策の充実を図る。さらに、外国人の支援団体への支援を含めた外国人との共生社会の在り方とその実現に向けて取り組むべき中長期的な課題及び方策等を示し、推進する。第3章 感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革第4章 当面の経済財政運営と令和4年度予算編成に向けた考え方

残念ながら、“(外国人材の受入れ・共生)”のセクションは、あまり具体的ではない。

詳細:内閣府 経済財政運営と改革の基本方針2021