月刊誌『会社法務A2Z』は自治体を特集していました。
企業法の実務に携わる人向けの雑誌です。普段は会社法、労働法、契約法などの特集が多いです。自治体特集は珍しいかもしれません。

特集号の内容に追加するなら、自治体は様々な案件をその地域の特性に合わせて処理しているので、事例知識が豊富です。窓口の担当者とコミュニケーションを取って、その豊かな知識を事業に活かすことを考えるべきです。それから、とくに施設系の許認可、例えば産業廃棄物処理施設や特定再生資源保管場などの許可の場合、許可を取得するために、関連する環境法令の対応が必須です。ところが、環境法令は種類が多く、複雑です。とくに、その地域で固有の条例の対応が簡単ではありません。それを所管する部門も1つや2つではありません。自治体もネットワーク的(部門横断的)な対応をしてくれますが、事業者側も社長ひとりで対応するのは大変です。そのような時に代理人として行政書士を活用すると良いです。

自治体DXの記事には、裏付資料の電子化の進展が遅い状況について記述がありました。納税証明書や、登記事項証明書を、なんでイチイチ添付させるのか、と。電子化すると、その開発費用、運用費用が各自治体に割り掛けされるのです。利用頻度が少ない自治体では、収支が赤字になるので導入しません。人口減少で過疎化が見込まれる自治体では、なおさらDX対応が進みません。自治体に、民間企業のような独立採算制を徹底すると、奇妙なことになります。それから、公式には言えない理由ですが、書類が添付されているほうが、いちいち別システムを参照する手間が省けてラク、というのもあるでしょう。民間企業でも、“あるある”な問題です。

会社法務A2Z 2025年5月号(第一法規)
2025年5月20日