令和6年建設業法改正の内容を確認します。
正式には「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の則にに関する法律の一部を改正する法律」に、改正の内容が規定されています。
全体で約50の条文が修正または新設されています。この法律の公布の日から起算して、1年6カ月を超えない範囲で順次、施行されます。すべての条文が同じタイミングではなく、この法律の公布の日から起算して、(1)3カ月以内、(2)6カ月以内、(3)1年6カ月以内のいずれかに分かれています。(1)3カ月以内は第34条、第40条の4の2条のみで、今年(令和6年)9月1日施行が決まっています。(3)1年6カ月以内は8条に過ぎません。従って、ほとんどの条文は(2)6カ月以内に施行されます。
建設業の許可の申請には、“営業所技術者”という用語が新たに導入されています。
第5条 一般建設業の許可(第8条第2号及び第3号を除き、以下この節において「許可」という。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合にあっては国土交通大臣に、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。
1~4 (略)
5 その営業所ごとに置かれる第7条第2号に規定する営業所技術者の氏名
6・7 (略)
まったく新しい役割が導入されたわけではなく、従来から存在した、営業所の、特定の資格を持つ技術者を“営業所技術者”と名付けています。
“営業所技術者”の意味は、一般建設業許可の基準である第7条、特定建設業許可の基準である第15条に詳しく書かれています。
第7条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
1 (略)
2 その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であって、次のいずれかに該当する者をいう。第11条第4項及び第26条の5において同じ。)を専任の者として置く者であること。
イ・ロ・ハ (略)
3・4 (略)
(許可の基準)
第15条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
1 (略)
2 その営業所ごとに、特定営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であって、次のいずれかに該当する者をいう。第26条の5において同じ。)を専任の者として置く者であること。ただし、施工技術(設計図書に従つて建設工事を適正に実施するために必要な専門の知識及びその応用能力をいう。以下同じ。)の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める建設業(以下「指定建設業」という。)の許可を受けようとする者にあつては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定により国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でなければならない。
イ~ハ (略)
3 (略)
建設業の許可に関する条文は、第5条、第7条、第11条、第15条、第17条の5条文が改正対象です。いずれも、この法律の公布日から記載して6カ月以内に施行されます。既存の建設事業者にとって、あらためて注意が必要、というほどではありません。
念のために注意しておくと、(特定)営業店技術者とは、“建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて”と書いてあります。建設工事の請負契約の締結は、建設業許可の申請時に申告した営業店で行い、適正な資格を有する技術者が関与しなければなりません。契約書の書面上で確認する必要があります。建設業許可の申請とは無関係な事業場の所在地が記載されていたり、適正な資格を有しない作業担当者の名前が記載されていたりすると、その契約書は、建設業法上は違反です。契約書の契約当事者には、建設業許可で申請した営業所の所在地、その営業所の技術者の名前を記載しましょう。
参考:
第三次・担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体的改正)について
改正建設業法9月1日施行分