外国人技能実習制度について、受入事業者の労働環境の問題を論じた本です。外国人労働者の労働衛生とキャリア開発に注意すべき、というのは、技能実習制度に限らず、日本人も含めた労働者全体にとって重要な課題です。外国人労働者を雇用している事業者にも、さまざまな規模があります。ある程度以上の仕事量、従業員数が無いと、外国人労働者と良い関係を保ちながら仕事で活躍してもらうことは、なかなか難しいのでは、と思います。きめ細かい労働衛生対策や、キャリア開発支援を、コストではなく、将来への投資として考えられる事業の余裕が必要です。

ところで、最近、大きな問題となっているのが、今後も継続して外国人労働者を確保できるか、です。

新型コロナ感染症の影響で、外国との人流が遮断された際、外国人労働者が不足して、事業運営が危機に陥る事例が発生しました。あれは新型コロナ禍での特殊な事件と言えるでしょうか?

近隣の外国人は、みんな日本に来たがっている、とはさすがに思ってないけど・・・本当はどうなの?先月(2023年7月31日)、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」第10回が開催されました。その論点8の資料です。出稼ぎ先として日本を選択する外国人は、それほど多くなさそうです。低賃金、円安が定着すれば、出稼ぎ先として日本を選択する外国人はさらに減少するかもしれません。

半崎一広 『建設業における外国人技能実習生受入れの実態 労働環境整備の重要性』 日本経済新聞出版(2022年)