COVID-19三年目が近づいている。次第に、この話題にも辟易してきた。科学的には少しずつ解明が進んでいるのかもしれないけれど、実生活は行きつ戻りつを繰り返し、前に進んでいる気がしない。感染症対策や経済対策の専門家たちが様々な努力をしているけれど、現実は八方ふさがりで、もう少しどうにかならないのか、苛立ちが募る。八つ当たり気味な気分で問う、社会全体を本当に理解していて、適切な解決策を提示できる専門家はどこかにいないのかと。常識的に考えて、いるわけないけれど、敢えて「社会の仕組みって、わかっているんですかね?」と無心に質問してみたら、あっけなく「いや、ぜんぜんわかんないっすね」と即答してくれる本、しかも丁寧な理由つきで。

社会は、分業と専門化が進み、様々な事象が偶発的な歴史的イベントを経て複雑に結びついている。COVID-19に限らず、日本の労働市場や、家族のあり方、環境に対する意識など、今、そこにある問題を説明する要因は唯一ではない。しかし、唯一ではないということは、専門家に限らず、さまざまな人が、自分なりの考えや行動から、社会問題にアプローチする機会がある、ということだ。小さくても自分ができる工夫を実践することで、社会を少しでも改善できると考えると、専門家が予測を誤ったとか、担当大臣が無為無策を露呈したとか、批判したり、苛立ったりするより、気分が良い。

今年、感染症対策や経済対策は、どうなるだろう。そんなことより、COVID-19の収束後に明るい未来があるよう、まずは自分にできることをすることだな。

“社会のわからなさ”に関する良書です。

筒井 淳也/社会を知るためには(ちくまプリマー新書)