建設業界の長時間労働を是正するため、注文者が建設業者に対し、過剰な工期短縮を迫ることを禁止する条項が新設されました。
「注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。」(第19条の5)

この規定に違反すると、発注者は国土交通大臣又は都道府県知事から、勧告を受ける場合があります(第19条の6第2項)。そして、発注者が勧告に従わないときは、国土交通大臣又は都道府県知事はその旨を公表することができます(同条第3項)。また、国土交通大臣又は都道府県知事は発注者に対して、報告又は資料の提出を求めることができます(同条第4項)。

注文者の義務は、さらに加重されています。地盤沈下など、工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがある場合、注文者は、建設業者に対して、その旨及び状況把握のため必要な情報を提供しなければなりません。これは、請負契約締結までに行う必要があります(第20条の2)。

なお、建設工事の工期に関する基準作成は、中央建設業審議会が担当することが規定に追加されています(第34条第2項)。