在留資格には、日本で起業したり、就職したりするための就業系資格と、日本に日本人と結婚したり、永住したりするための身分系資格があります。
まず、就業系、身分系を問わず、一般に在留資格のご相談の際に問題になることを説明します。
在留資格の申請が、初めてではない場合ですが、前回の申請時の書類がほとんど無い、という外国人が少なくありません。詳しくお話を伺うと、「申請は、専門の業者に依頼したのですが、希望する在留資格は許可されませんでした、その時の書類のコピーは渡されてないです」、とのことです。本当だとすれば、残念な業者です。適正に仕事をする業者(行政書士または弁護士)であれば、申請の結果に関わらず、申請書類の写しは一式揃えてもらえます。
外国人の在留資格は、申請すれば100%許可される、という保証はありません。仮に、不許可となった場合でも、不許可の理由や、申請内容を十分に調べて、次回の申請の機会に備えて、日本での生活内容を修正することが大切です。そのためにも、申請時の書類のコピーは、もらっておくようにしましょう。
就業系の在留資格
就業系の在留資格は、日本で起業する、又は日本の企業に就職する場合に必要です。
外国人が日本企業に就職する場合、注意が必要なことがあります。就職先の企業の事情と、就職を希望している外国人の志望動機が、整合していない場合が見受けられます。日本の入管法は、外国人が日本で就業する場合、専門技術を有している、外国人としての特性を活用できる等を条件としています。そうでない場合は、就業できる職種が制限されます。その点をあまり考慮せず、企業は人手不足を解消するために、外国人は、とにかく日本で仕事が見つかればOK、のような方向で、お互いに採用、就職を決めているケースが問題です。面談すれば、すぐにわかります。仮に在留資格が許可されたとして、将来、その外国人を雇用し続けることができるか、課題が残ります。
外国人に限らず、なぜその仕事をするのか?というキャリア開発は、誰にとっても大切な問題です。外国人の場合は、さらに、なぜ日本で働くのか?という問題が追加されます。そのような視点で、就業系の在留資格取得を検討する必要があります。
身分系の在留資格
身分系の在留資格は、日本人と結婚したり、日本に永住したりする場合に必要です。
一時期、偽装結婚がかなり問題になりました。その影響もあって、普通に、まじめに暮らしているのに、なかなか在留資格が許可されなくて苦心した方も少なくないと思います。それでも、なんとか日本人の配偶者等の在留資格が許可されて、日本での生活にも慣れたし、そろそろ永住許可の申請を検討している方もいらっしゃるでしょう。
永住許可の審査基準は、(1)素行が善良であること、(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること、とされています。何年、日本に住んでいても、この3条件が揃っていなければ、許可されません。しかし、この3条件を具体的に、どのように証明するのかは、専門家(行政書士または弁護士)の知識や経験が必要です。
以前、永住許可を申請したけれど残念ながら不許可だった、という場合でも、諦める必要はありません。その後、生活条件に変化があり、3条件を満たしているかもしれません。
いずれにしても、許可、不許可を最終的に判断するのは出入国在留管理庁であり、法務大臣です。専門家の知識と、永住を希望するご本人の生活状況、そして出入国在留管理庁の判断の方向性などを総合的に考えて、許可を獲得するまでのシナリオを検討し、申請手続きを進める必要があります。
<最終更新日:2022年10月2日>