ストックヤード運営事業者として登録されると、ストックヤード運営事業者登録規程(令和5年国土交通省告示第157号)に従って業務を運営しなければなりません。
土砂の搬入、搬出の管理は、従来から実施しているかもしれませんが、とくに注意すべきは次です。
(1)土砂の搬出先に関する確認
(2)受領書の管理
ストックヤードから搬出された土砂が不法な盛土等に悪用されたり、危険な盛土等になることを防止するため、搬出先が適正でなければなりません。ストックヤード運営事業者は、搬出先が適正であることを確認しなければなりません。その証明として、土砂の搬出先から所定の事項を記載した受領書の交付を求めます。また、土砂の搬入元に対しても、所定の事項を記載した受領書を交付します。
受領書のやりとりは、従来の業務に追加される事業者様も少なくないのでは?さらに、搬出先については適正性も確認しなければなりません。
土砂の搬出先に関する確認
土砂の搬出先が適正であることを確認する必要があります。適正性は、法令による規制に準拠しているか?法令の規制の対象外か?という観点で確認します。ここで関係する法令は、次の2つです。
(1)宅地造成及び特定盛土等規制法(以下「盛土規制法」と略。)
(2)自治体の土砂条例
盛土規制法による規制
宅地造成工事規制区域の場合の工事の許可は、第12条に規定されています。
また、特定盛土等規制区域の場合の工事の許可は、第30条に規定されています。
いずれの規制区域の場合についても、許可を必要としない場合は、盛土法施行令第5条第1項に規定されています。
なお、盛土規制法の許可の特例として、第15条、第34条があります。
地方自治体の土砂条例
盛土について、自治体では独自の規制(条例)で対応しています。令和5年の盛土規制法改正を契機に、各自治体の運用状況に変化が見られます。
ひとつは、盛土規制法改正を機に、条例を全面的に廃止するケースです。例えば宮城県では、「土砂等の埋立て等の規制に関する条例」が令和7年5月23日に廃止されています。そのかわりに盛土規制法にもとづく「宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく許可・届出制度の手引き」を公表しています。
もうひとつは、盛土規制法と重複する規定を整理し、独自の規定について条例の運用を継続するケースです。盛土規制法は土砂流出による災害防止を目的としています。一方、既存の条例には土砂の搬入、搬出から環境を保護する目的を持つものもあります。たとえば千葉県は、有害物質を含む土砂等の埋立て等から発生する土壌汚染を防止することも目的として「千葉県土砂等の埋立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」(残土条例)を継続しています。
このように、地方自治体では土砂条例(または残土条例)などと呼ばれる独自の規制の運用が一部で続いていることに注意が必要です。ストックヤード運営事業者の登録では、地方自治体の土砂条例等を遵守することも要件とされています。
参考
宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止に関する基本的な方針(令和5年5月29日 農林水産省、国土交通省告示第5号)
宅地造成等規制法の施行にあたっての留意事項について(技術的助言)
ストックヤード運営事業者登録制度
盛土規制法総合窓口(ポータルサイト)
「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称「盛土規制法」)について
宮城県 宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)について
盛土規制法の施行状況
東京都 盛土規制法に基づく規制
杉並区 開発行為・宅地造成等の許可申請
一般財団法人地方自治研究機構 土砂埋立て等の規制に関する条例
建設発生土の搬出先計画制度
<2025年9月10日更新>